こんにちは。関西を拠点に活動中のロックバンド、Zinnia Staticeのウラタテツです。
DTMを始めてみたものの、ドラムの打ち込みに苦戦している方は、多いと思います。
また、打ち込む事はできても、打ち込みっぽさが目立つことも、あるでしょう。
このことを解消するためには、3つのコツを意識して打ち込むだけで、クオリティが一気に上がります。
その3つとは、「音の強弱」「人間の両手・両足」「音色」です。
この記事では、ドラムの打ち込みをする際のコツやテクニックを
画像と音声をつけて、解説します。
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打ち込みドラムの3つのコツ
打ち込みのドラムのクオリティを上げるためには、3つのコツがあると言いました。
この3つのことを意識せず、ただ打ち込むだけでは、リアリティに欠けるドラムになってしまいます。
ここで、DTM初心者がよくやりがちな、打ち込みドラムの悪い例の音源を用意しました。
こちらをお聴きください。
打ち込みっぽさが全面に出ている、ベタベタなドラムですね。
あなたの打ち込んだドラムも、このようになっていませんか?
このことを解消するためには、「音の強弱」「人間のクセ」「音色」の3つが重要になります。
このことを一つずつ、解説していきます。
音の強弱
打ち込みっぽさが出る原因の一つは、音に強弱をつけれていないからです。
人間が本物のドラムを演奏するときは、叩く際に強弱が必ずつきます。
ドラムを実際に叩く際は、「スネア」「ハイハット」「バスドラム」の3つが主体になります。
この3つの音の強弱をつけるだけで、打ち込みでも一気に生々しいドラムへ化けさせることができます。
この3つに加えて、シンバルやタムのことにも触れながら、それぞれ解説をします。
ハイハットの強弱のつけ方
先ずは、ハイハットの強弱のつけ方について、解説をします。
本物のハイハットを叩く際は、アップダウン奏法と呼ばれる、叩き方をされています。
打ち込みドラムで、アップダウン奏法を再現するためには、
強く→弱く→強く→弱く…
の順番で打ち込めばオーケー!
先ずは、アップダウンを採用していない音源をお聴きください。
一定の強さで叩いているため、打ち込みっぽさが際立っているのが、わかると思います。
実際の画面では、このように打ち込まれています。
次にアップダウン奏法を採用した音源をお聴きください。
強弱がハッキリし、打ち込みっぽさがなくなりました。
実際の画面では、このように打ち込まれています。
僕が使用しているドラム音源は、Addictive Drums 2という有料のものです。
この音源では、同じハイハットでも、打ち込む位置によって音が変わります。
弱い音や強い音だけでなく、オープンで強く打った、「シャーン!」という音や、
ペダルを踏んだ、「シッ」という音まで、バラエティに富んだ音色が用意されています。
ドラム音源の種類によっては、このような音色が用意されていないことがあります。
あなたのお持ちのドラム音源に、このような用意がされていない場合は、ベロシティを下げればオーケー!
ベロシティとは、打ち込み音源の強弱を決める数値のことを言います。
アップダウン奏法は、
強く→弱く→強く→弱く…を繰り返しているので、
偶数打の箇所のベロシティを下げればオーケーです。
ここで、ベロシティを下げた方法での、音声と画像を紹介します。
打ち込んでいる箇所は同じでも、偶数値のベロシティを下げただけで、十分にアップダウン奏法が再現されました。
更に、ここで新たなテクニックを紹介します。
実際に本物のドラムを叩く際は、ハイハットと共にスネアを叩く場面が多々あります。
人間が本物のドラムを叩く時の癖として、スネアを叩くときに連れらてハイハットを強く叩く傾向があります。
それを打ち込みでも再現すれば、より生々しいドラムに仕上げることができます。
打ち込み方は、
強く→弱く→より強く→強く→弱く→より強く…
の繰り返しをすればオーケー!
音声と画像をご覧ください。
より、生々しく再現できました。
この音源は、ドラムの基礎である8ビートを再現しています。
8ビートの場合、スネアの位置は、2拍目と4拍めに置かれます。
この位置のハイハットを、より強めの位置で打ち込むか、
ベロシティを少し上げるだけでも、このような効果を得ることができます。
是非、試してみてください。
バスドラム(キック)の強弱のつけ方
続いて、バスドラムの打ち込み方についての解説です。
バスドラムとは、ドラムセットの中でも、最もサイズが大きなものです。
ペダルを踏んで叩くことから、キックとも呼ばれています。
この記事で紹介している音源のバスドラムは、
「ドン! ドドン!」というリズムを繰り返しています。
特にキックを打ち込む際に、一番重要なポイントは、「ドドン!」と連打している箇所です。
この「ドドン!」という音は、ドラムの世界では、ダブルキックと呼ばれています。
本物のバスドラムでダブルキックを再現する場合は、
1回目のキックの跳ね返りを利用して、2回目を踏むのが定番です。
この奏法でキックすることで、音の強弱が自然と現れます。
具体的には、1打目は弱く、2打目が強くなります。
文字で表すなら、「ドドン!」という強弱になります。
ここで、キックの悪い例の打ち込み音声と、画像を用意しました。
お聴きください。
こちらのキックも、音量が全て同じで、打ち込みっぽさが際立っています。
実際には、この画像の通りに、打ち込んであります。
ここで、強弱をつけたダブルキックを、打ち込みで再現してみます。
ダブルキックは、1打目が弱く、2打目が強く打たれますので、
1打目のベロシティを下げれば、再現することができます。
音声と画像をご覧ください。
「ドドン!」と鳴らす、ダブルキックの1打目を弱くし、2打目を強くしました。
これだけでも強弱がつき、メリハリのあるキックを再現できたかと思います。
ここで、「ダブルの強弱のつけ方はわかったけど、単発で踏んでいる箇所の強さはどうなの?」
と、疑問に思われている方もいると思います。
単発で踏んでいる、「ドン!」の箇所は、
ダブルの「ドドン!」の2打目と同じ強さで、打ち込めばオーケーです!
スネアは基本的には一定の音量と音色でいい
続いて、スネアの強弱のつけ方の解説です。
8ビートにおけるスネアは、バックビートを占めることになるため、非常に重要なポジションになります。
バックビートとは、「ワン ツー スリー フォー」のうちの
「ツー」と「フォー」の位置のことです。
この位置にスネアを置くのが、8ビートドラムの基本となります。
スネアでは、ハイハットやバスドラムのように、常に音の強弱をつけることはありません。
ただ、打ち込む際に、どういった音を採用するかが重要になります。
主にロック系の楽曲のドラムの場合は、オープンリムショットと呼ばれる叩き方をされています。
オープンリムショットとは、ヘッドと呼ばれる革の部分と同時に、スネアのフチを一緒に叩く奏法のことです。
ここで、通常のショットと、オープンリムショットの2つの音声を用意しました。
聴き比べてみてください。
・通常のショット
・オープンリムショット
オープンリムショットの方が、金属らしき音も混じり、アタックの強い音が出てるのがわかると思います。
これを打ち込みドラムで再現するには、その音を使えばオーケーです。
近年のドラム音源には、ハイハット同様、スネアの音も多彩に用意されています。
・オープンリムショット
・クローズドリムショット
・スネアの真ん中を叩いた音
・スネアの端を叩いた音
など、様々な音色があります。
「有料のドラム音源を使ってるのに、打ち込みっぽさが出てしまうなあ…」
このように悩まれているDTM初心者は、スネアの音の使い分けができていない場合がほとんどです。
種類が多いため、使い分け方がわからない方もいると思います。
その場合は、基本的にはオープンリムショットのような、甲高いスネアを採用すれば大丈夫です。
製作している音楽のジャンルよっては、スネアにもベロシティを多用して強弱をつける場合もありますが、
基本的なビートを刻む場合は、一定の音量や音色のものを使えば大丈夫です。
スネアの強弱のつけ方
ここで、スネアの音の強弱をつける場合についても、解説しておきます。
楽曲の制作途上で、スネアの連打を採用する場面もあるかと思います。
その場合は、オープンリムショットのみで連打しまうと、非常に不自然な仕上がりになってしまいます。
連打を打ち込む際は、1拍目と3拍目だけをオープンリムショットにし、
残りを革だけを叩いてる箇所を打ち込むようにしましょう。
実際の音声を用意しましたので、こちらも聴いてみてください。
・オープンのみでの連打
・オープンを1拍目と3拍目に置いた連打
オープンのみの連打では、高音域ばかりが目立ち聴きにくい演奏になりましたが、
オープンを1拍目と3拍目にしただけで、生々しい演奏を再現することができました。
このことも是非、試してみてください。
タム類の強弱のつけ方
この記事で紹介した音源では、演奏の最後の方でタム類を使って、フィルイン(おかず)を演奏しています。
ドラム演奏でのタムは、フィルイン(おかず)で使われることが多いです。
タム類を打ち込む際は、音の強弱をそこまで気にせずとも、打ち込むだけでも十分にそれらしくなります。
ですが、ここで敢えて本物のドラマーが、どのようにタム類を叩いているかを紹介します。
人間が本物のドラムを叩くときは、ほとんどの場合、利き手側の手で叩くときに自然と音が大きくなります。
逆に、もう片方の手では、自然と音が小さくなります。
しかし、プロドラマーがタム類を叩くときは、音量を揃えるようにしているのです。
つまり、利き手側(奇数打)を少し小さく叩き、
もう片方の手(偶数打)を少し大きくして叩いている、ということになります。
打ち込みでもこれを再現すれば、裏拍が強調された、聴き心地の良いフィルインを作ることができます。
利き手側(奇数打)のベロシティを少し下げ、
もう片方の手(偶数打)のベロシティを上げれば、再現することができます。
2種類の音声を用意しましたので、お聴きください。
・音量がそのままのタム
・音量を変えたタム
音量を変えた方が、タムの「ドコドコ」とした音や裏拍が強調された、メリハリのある音になりました。
このことも実践してみてください。
シンバル類
一般的なドラムセットのシンバルは、左右の上に1枚ずつあります。
シンバルは打ち込み方というよりも、パンの振り分け方が重要になってきます。
パンとは、スピーカーの左側からはギターが聴こえ、右側からはピアノが聴こえるような効果を表すものです。
このことを、打ち込みドラムにも採用することで、より生々しいフレーズを作ることが可能になります。
この記事で紹介してある音源は、ドラマーが右利きであることを想定して、シンバルのパンを左右に振っています。
最初の方で鳴っているシンバルは、左にパンを振っています。
左に振る理由は、シンバルを叩いたら、すぐにハイハットの奏法に移るからです。
よって、この時のシンバルのパンを左に振ることで、より自然なドラム演奏が再現できるのです。
そして、最後のフレーズのシンバルは、パンを右に振っています。
最後のフレーズでは、タムを左から右に回すように叩いています。
このことから、シンバルも右側の方が叩きやすくなります。
このように、実際に人間がドラムを叩くとき、どうしているかを考えて打ち込むことで、
より、生々しい打ち込みドラムを再現することができます。
音声を用意しましたので、左右の音によく注意して、お聴きください。
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人間には両手・両足しかないことを考える
当たり前ですが、人間が本物のドラムを叩く際は、両手・両足を使います。
よって、ドラムを演奏する際は、叩ける範囲がある程度決まってきます。
ところが、打ち込みだと、人間が実際に演奏することが不可能なフレーズまで作れてしまうのです。
DTM初心者の打ち込みフレーズには、明らかに手が3本以上ないと叩けないようなものがあります。
このようなフレーズは、あまりに不自然なため、打ち込みの要素が悪く出てしまう例の一つでもあります。
人間には、「両手・両足しかない」ということを考えながら、打ち込むようにしましょう。
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音色を加工する
ここで、打ち込みドラムを更に良くする方法を伝授します!
この方法は、打ち込み方というよりも、ミックスの範疇になってしまいます。
しかし、このことをすることで、音がかなり変わってきます。
ドラムの音を加工することにより、更にパンチの効いた、力強い音を再現することができるからです。
主に、スネアとバスドラムとハイハットの3種に、イコライザーをかけるだけでオーケーです!
まず、それぞれのドラムにイコライザーをかけるためには、トラックごとに分ける必要があります。
トラックの分け方は、お使いのDAWにより、操作法が異なります。
わからない場合は、インターネットで検索するなどしてお調べください。
では、僕の使用している作曲ソフトを例に、画像を用意しました。ご覧ください。
ドラムの各太鼓を、一つずつのトラックに分けました。
トラックに分ける際は、わかりやすいように、名前をつけておくとグッドです!
なお、ここで紹介することは、あくまで一例です。
加工の仕方に正解があるわけではないので、そこを念頭においてください。
では、スネアの加工からやってみましょう。
スネアの加工
この記事で紹介しているスネアは、オープンリムショットを基本として、打ち込んでいます。
オープンリムショットは、金属的な音も同時に鳴っているので、高音域が元々強めに出ています。
このため、イコライザーでは高域(ハイ)には触れずに、
低域(バス)か中域(ミッド)の位置をブーストさせるだけでオーケー!
ここで、イコライザーで加工をした画像と、
加工前と加工済みの音声を用意しました。ご覧ください。
・加工前のスネア
・加工済みのスネア
今回は、イコライザーで中域をブーストしてみました。
このことで、スネアの音にコシが出てきたと思います。
重ね重ね申し上げるようで申し訳ないですが、これはあくまで一例です。
ですので、あなたの好みに合わせた加工をしても問題はありません。
ハイハットの加工
次にハイハットの加工を行います。
ハイハットは、シンバルの一種になるため、基本的には高音域に音が集中しています。
低音域は全くと言っていいほど、音が鳴っていません。
シンバル系の音にイコライザーをかける際は、800以下の帯域をカットすることで、金属音をより強調することができます。
800以下をカットした上で、広域をほんの少しブーストすればオーケー!
実際の画像と、加工済みの音声を用意しました。ご覧になってください。
・加工前のハイハット
・加工済みのハイハット
イコライザーで広域をブーストし、ゲインも少しあげたことで、ハイハットの音がより際立ちました。
この使い方は、ハイハットだけでなく、クラッシュシンバルなどにも応用が効きます。
こちらも是非、試してみてください。
バスドラムの加工
ドラムの中でも、最も低域が響くのが、バスドラムです。
バスドラムは、特に加工することを意識した方がいいです。
例えば、メタルやラウドロックのような重低音を強調した楽曲なら、低域をブーストし、
低域をそこまで気にしない楽曲ならカットする、
などの使い分けが必要です。
この記事では、低域を少しカットしたものをご紹介します。
画像と音声をご覧ください。
加工前のキック
加工済みのキック
低域をカットし、中域を少しブーストさせてみました。
正直なところ、違いはあまりわからないかもしれません。
しかし、ベースやギターなどの音を重ねる時に、音の違いがハッキリとわかってきます。
他の楽器などの兼ね合いもありますので、バスドラムはそれに合わせて加工をするようにしましょう。
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ドラム音源のキットを作る曲ジャンルに合わせて選ぶ
これまでの解説を参考に行えば、あなたの打ち込みドラムが良くなることは、間違いありません。
しかし、ここでまた一つ、重要なことお伝えします。
それは、作る曲のジャンルに合わせて、ドラムキットを選定するということです。
近年のドラムキットは、有料・無料問わず、様々なものが搭載されています。
それは、重低音を想定されたものや、軽めのものまで様々です。
僕が使用している、Addictive Drums 2にも、数多くのドラムキットが搭載されています。
DTM初心者が選ぶものは、低域と高域の両者が強いものが多い傾向にあります。
低域と高域が強い状態のことを、ドンシャリと呼びます。
ドンシャリが特徴とされるものは、ドラムに限らず、どのような楽器でも存在します。
人間は、このドンシャリの音に対して、聴き心地の良さを感じる傾向にあるようです。
そのため、ドンシャリ気味のドラムキットを選ぶ傾向が強いとされています。
僕自身も、このタイプのドラムキットを選ぶことは多いです。
しかし、作る曲のジャンルによっては、敢えて軽めのドラムキットを選ぶことがあります。
例えば、ポップスのドラムでは、メタルのような叩き方をしません。
逆に、メタルのような曲では、ポップスの叩き方をすることはありません。
そして、プロのドラマーは、ジャンルに合わせたドラムセットを使用します。
このことから、打ち込みドラムでも、ジャンルに沿ったドラムキットを選ぶことが重要であることがわかります。
打ち込みのテクニックを駆使するだけでなく、このことも意識して行うことをオススメします。
そうすれば、あなたの作る音楽のクオリティが、確実に上がっていきます。
このことも意識して、打ち込みを実践してみてください。
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まとめ
この記事では、実際の打ち込みドラムの音源を使用して、解説をしてきました。
改めて、悪い例と、良い例の2つを聴き比べてみましょう。
悪い例
良い例
打ち込み方を変えたり、加工を施すだけで、音をここまで化けさせることができます。
この記事の内容をしっかりと実践されれば、あなたのドラムも打ち込みっぽさがなくなり、
よりリアリティのあるものを、再現できるようになります。
頑張ってみてください!
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では、この記事はここまでです!
あなたのお役に立てれば幸いです!